第16話 / DIGGIN’THE SOUL

 プロローグ

 家を出てから、どれくらいの時が過ぎただろう。
 唄の巫女になれない私は、あの家では不要な存在になったのだ。
 両親の足を引っ張るわけにはいかない。
 厄介払いのためだろう。
 両親は十分なお金と寝泊まりできる下宿先を用意してくれていた。
 これ以上の迷惑をかけたくはなかったが、素直に従う気にもなれない。
 そんな胸の奥で渦巻く鬱屈な想い。
 それを吐き出す術を歌以外にはしらなかった。

「歌ってはいけない」

 そんな言いつけに、せめてもの反抗をするかのように。
 私の気持ちを写すように雨が降り始める。
 ちょうどいい。
 これなら誰にも聞こえない。
 ただ歌いたかった。
 それだけが私のすべてだったのに。
 もう二度と歌うことはないのかもしれない。
 いっそ声なんて出なければいいとさえ思う。
 
 それでも――

 歌が好き
 という思いだけは捨てきれずにいた。

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この記事を書いた人

長野県松本市を拠点に活動する2人組の作家です。

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