第15.5話 / DIGGIN’THE SOUL

 いつのころからか、変わってしまった家族。
 幸せだった日々に戻る方法は、ひとつだけだった。
 
 私には、才能がなかった。
 父も、母も、そのことに気が付いたのだろう。
 うたうことを厳しく制限する父。
 笑うこともうたうこともなくなった母。

 それでも私は諦めなかった。
 いつかまたあの時みたいに、一緒にうたえる日が来ると思っていたから。
 いつかまたあの時みたいに、うたでみんなが笑ってくれると信じていたから。

 毎日、毎日、うたい続けた。
 どれだけ喉が渇いても。
 どれだけ涙が浮かんできても。
 どれだけ声が出なくなっても。
 毎日、毎日うたい続けた。

 それでもうたいたくないとは思わなかった。
 『うた』は、私にとって呪いのようなものになっていた。

 けれど、終わりは突然訪れた。

「あなたのうたでは……ダメね」

 母は私の不甲斐なさにそう言った。

「白砥家の巫女はお前には務まらん。ここから出ていきなさい」 

 父は目を伏せたまま、そう言った。

 ……うたうのが、好きだった。
 ただ、それだけだった。

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この記事を書いた人

長野県松本市を拠点に活動する2人組の作家です。

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