第27話 / DIGGIN’THE SOUL

「こら~、二人でイチャつくな~」

 美久がまたまた懐かしのトーンで突っ込んでくる。

「でも咲はやっと朱璃に会えたね」
「うん、卒業以来会えてなかったし……会えて良かった~~」
「私もだよ。……元気そうで良かった」

 話し方も雰囲気も昔のまま。昔の姿が重なり、何かがこみ上げてくるのを感じた。
 ……待って、泣きそう。
 そういえば……と、感傷かんしょうを振り切るように口を開いた。

「そうだ! 聞いたよ、結婚するんだって?」
「へへっ、そうなんだ~」
「おめでと~~」
「ありがとう~~」

 改めてぎゅっと抱きしめる。
 少し照れたように笑う咲。それも昔と変わらない。

「優希くんは今日来てるの?」
「うん、もう来てるよ……あ、ほらあそこ」

 咲の指差す方に、スーツ姿の男性が何人か集まっている。
 その中に優希くんの姿があった。
 当然ながらあの頃よりかは大人っぽくなっている。
 物静かで穏やかな――咲が惚気のろけ混じりに話していた彼。
 もはや私たち的には咲が語る優希くん像のほうが大きい。

「あ、ホントだ。ちょっと雰囲気変わった?」
「うーん、そうかな? でも昔よりかは大人っぽくなったかも?」
「お~、なんだ、旦那の話か~?」
「ちょっと、美久! そんなんじゃ……」

 ないって。と否定しようとした咲の言葉を奪う。

「あるでしょ? もうまもなく」
「あっ……、もう~~!!」

 美久と私の茶化しに、顔を真赤にしてポコポコと手を振り回す咲。
 まるで高校時代のやり取りが戻ってきたようだった。
 咲が慌てて話を変えてきた。

「そういえば柚木は?」
「あぁ。柚木は今日、来れないって」

 予め想定していたんだろう。美久がそう即答した。

「そうなんだ……仕事なのかな?」
「うーん。最近また忙しいみたいなんだよね」

 二人のやり取りが遠く聞こえてくる。
 美久と咲と柚木と、四人で過ごした日々を思い出す。

「まぁ、また会えるよ」

 そう、呟くことしかできなかった。

「そうだよね、また四人で会いたいなー!」
「近々会えるんじゃない? 咲の結婚式とか?」
「えーもうっ……けど、そうなるといいな」

 照れ笑いを浮かべる咲。
 私はわざとらしく腕時計に目を向けた。

「あれ? そろそろ開始時刻じゃない?」
「あれ、ほんとだっ。受付、片付けるからふたりとも先、行ってて」
「うん、わかった!」
「よーしっ、たべよー!」

 小走りでビュッフェコーナーに向かおうとする咲を、美久が呼び止めた。

「あ、咲」
「ん? どったの?」
「あれ、忘れずにね」

 そういう美久に、咲は指でOKマークを作った。
 その仕草も高校の時のまま。

「おっけい。分かってる~」
「なんかあるの?」

 私がそう尋ねると、二人はそっくりな意地悪な笑顔を作った。

「ん~、内緒♪」
「まぁまぁ、朱璃は気にしないで」
「???」

 意味深なやり取りに首をかしげる私。
 そのやり取りがどこか懐かしくて、思わず笑みがこぼれた。

「あ、いま笑ったね?」
「え?」

 私の顔を覗き込むように、美久がイタズラっぽく笑う。

「何年の付き合いだと思ってるの? 今日、ほんのちょっとだけテンション低かったでしょ?」
「そうそう、私たちの目は誤魔化せないよ?」
「えぇ~、なにそれ?」

 二人のそんな言葉に、タハハ、と笑ってしまう。
 美久も咲も同じように笑っている。
 懐かしさと想い出であふれている、今の時間を噛みしめるように.

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この記事を書いた人

長野県松本市を拠点に活動する2人組の作家です。

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