第24話(2) / DIGGIN’THE SOUL

 エピローグ2

 薄明るく照らされた山道を、一人歩く。
 私たちだけの秘密の場所。

 木々のざわめきを抜けると、そこには草原が広がっていた。 
 真ん中には大きな一本の木。
 この山で、いちばん空に近いと思える場所だった。

 私はいつもの定位置に座り、木の洞からカセットテープを取り出す。
 いつものように片方だけのイヤホンを差し込み、この場所でしか拾えない電波の音を聴いた。

 もう片方のイヤホンの先には誰もいない。
 もう彼女は来ない。その事実を改めて感じる。
 誰よりも私がそれを知っているのに。

 私はもう片方のイヤホンをそっと手に取り、目を閉じる。
 ラジオから流れる旋律に胸の奥が震える。
 指先から伝わる微かな振動に、彼女と過ごした時間が蘇る。
 そこには、何度も一緒に耳を澄ませた音が確かにあった。

 ――「これが好き」って気持ちがあればいいんじゃないかな?

 ふいに、あの声がよみがえる。
 その声はもう聞こえない。
 けれど、不思議と今は隣にいるような気がした。

 イヤホンの先から、かすかに別の息遣いが混ざった気がして――。

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この記事を書いた人

長野県松本市を拠点に活動する2人組の作家です。

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